旅人
8月最後の日に、今年写真がたくさん撮れたアサギマダラを紹介したいと思います。(以前にもすこし紹介しましたが、お付き合いいただけると幸いです。)
アサギマダラは春から夏にかけて、南方から北上し夏には涼しい長野県の山などに移動します。そして晩秋になると再び南方へ移動する。このように渡りチョウとして知らてれいます。
長いものでその距離なんと2500㎞!!!
日本から台湾までいくこともあります!!
とここで、疑問。あれ、チョウはそんなに長い間飛べないんじゃないの???
おしゃっる通り、通常のチョウでは不可能です。
ところがどっこい例外もあります。その例外がアサギマダラです。
これだけの距離を飛べるのには3つ理由があると考えております(※あくまで個人の見解です)。
そもそもアサギマダラの寿命は4~5か月ほどあります(モンシロチョウは10日くらい)。
そしてここからはバタフライヤーが長年アサギマダラを見てきた経験から言うと、
アサギマダラは
・エネルギーを体に蓄える機能が発達している
・飛び方が省エネである
長野県でみかけるアサギマダラは常に花の蜜すっており、体にエネルギーを多く蓄えているように思います。
また、通常のチョウと比べ、アサギマダラははばたく回数が少なく、一度気流にのるとほとんど翅を動かさずに飛んでいきます。まさに省エネな飛び方です。
長寿命
エネルギー多貯蓄
省エネ飛翔
きっとこの3つ長距離を飛べる理由だ!!と僕は思っております。
真偽も含め今後もアサギマダラを追っかけていきたいと思います。
(写真・解説)
2019年8月18日 長野県湯の丸山
2019年8月11日 長野県入笠山
2019年8月10日 長野県上高地
アサギマダラ
★★
白・黒・茶色のマダラ模様をもつチョウで、2000㎞もの距離を移動する渡りチョウとして知られています。夏には人間が避暑地に行くように、高山の涼しい箇所で吸蜜するシーンをよく目にします。夏の長野県のアサギマダラは、一心不乱に蜜を吸うため、多少近づいても逃げることなく、写真をとるのが最も容易なチョウでもあります。風に乗って飛ぶときはほとんどはばたかず、例えるならパラグライダーで風に乗っているときの姿かな?っと思います。
ギャップ萌え
好きなアーティストであったり、好きな人がいるいたりしたときに、どうして好きになったのかと考えると、たまにギャップが良かったなと思うときがあります(ありますよね?笑)。
このチョウはまさに表の翅と裏の翅のギャップにキュンとしてしまいます(え?!29歳の大の大人が何言ってるって?そこは気にせず)。
このチョウの名前は
クジャクチョウ
といいます。表の翅の斑点模様がちょうどクジャクの翅の模様と似ているからです。
このネーミングセンスはちょっと粋ですね、脱帽です!!!
本州では主に山地でしか生息していませんが、移動性がかなりあるので、低山なんかでもたまに見かけることがあります。ただ、移動しているときはものすごい勢いで飛んでいきます。
みなさまもぜひ、探してみてください!!ちなみに夏(7月から9月)の富士見パノラマリゾートの花畑にいけはすぐに出会えます!!
(写真・解説)
2019年8月17日 長野県高峰高原・池の平湿原
2018年8月4日 入笠山 花畑
クジャクチョウ
★★
翅の表側にクジャクの羽のような斑点模様があり、裏側は葉っぱに擬態している。花に吸蜜するためにとまることもあれば、道端や木道に翅を広げてとまるシーンも多い。本州では主に高山に生息しており、標高が1500mくらいから見かけることが多い。初めてみたのは小学生のときで、そのときの感動のせいか今でもクジャクチョウを見かけると楽しい気持ちになります(笑)
ノックアップストリーム~気流にのっていけ!~
沖縄県や九州地方では、時たま日本にはいない種のチョウ(迷チョウ)が発見されることがあります。(上の写真のスジグロカバマダラも元は沖縄にいなかったようです)
こうしたチョウは東南アジア、中国、ロシアなど数百~数千kmも離れた土地から日本にたどり着くそうです。
と、ここで疑問。数千kmもチョウって飛べるの⁇
通常、それほどの距離を飛んでいる途中で寿命がつきるでしょう。
ではどうやって⁈
答えは”台風”です!
実は台風の風によってチョウが上空まで吹き上げられ、日本に向かってふく偏西風の気流によって、吹き飛ばされることで、日本にたどり着くと考えられています。
これは蝶々版のノックアップストリームといってもよいかもしれません(ノックアップストリームは漫画のワンピースで地上から空に浮かぶ島へ行くため利用する、海から空へと突き上げる海流のことを言います)
以前紹介したコノハチョウも迷チョウとして徳之島(徳之島は石垣島から600kmあります)で発生したこともあるそうです。
(写真・解説)
2019年6月27~29日 石垣島
★★
オレンジ色の模様に黒いスジの入った翅をもつ、八重山諸島で最もポピュラーなチョウの一種。道路脇の花・草むら、林道の日当たりのよい場所でよく吸蜜しており、集団でとまっている姿もままありました。幼虫時に毒性のある植物を食べるため、成虫になっても体内に毒をもつ。 飛び方はゆるやか。翅を広げてとまるシーンは特に美しい。
コノハチョウ
★★★
準絶滅危惧
以前にも紹介した木の葉に擬態した形からその名がついています。石垣島で見つけた箇所は山の中の薄暗い林道の木の葉っぱの上でした。翅を開いていないと本当に葉っぱにしか見えず発見することは困難です。日中たまたま飛んでいる姿を目撃できれば、写真をとることは意外と難しくありません(飛び去ってもその周辺にとまってくれます)
前々前世
ただいまの時刻はベニヒカゲっと。
とっとっと、朝から変なボケが浮かんできてしまう、長野県の池の平湿原2日目。本日もこやつが相当数舞っておりまして、なかなかシュールな写真が取れました。
(PM 11:25)
ちょうど僕の人差し指にベニヒカゲがとまりました。会社の先輩にこの写真を見せたところ、
「前世の奥さんちゃうか?!」
というシュールなつっこみをいただきました。ちなみに現世の奥さんにはまだ出会っていません(えっその情報要らないって?!)。
前世の奥さんと同時に左足に2匹とまりました。きっと前々前世の僕と前々前世の奥さんかもしれません(えっ前々前世って言いたいだけやろって?!)
前世がカメラマンのやつもいました(えっ天気の子は見たのかって?!)。
(PM 11:43)
さて、前世の奥さんですが、実は池の平の木道を歩いている間、
18分間ほど僕の指にとまっておりました。
こんなこともあるんですね。
最後はコヒョウモンを見て、本日はお開きにしたいと思います。
(写真・解説)
2019年8月17,18日 長野県 池の平湿原
ベニヒカゲ
★★★
準絶滅危惧(本州)
鮮やかなオレンジ色の模様をもつチョウで、標高1500m以上の草地に生息するかなり貴重なチョウ。通常、高山のチョウは標高が高くなると発生時期がおそくなるのだが(標高が高くなると暖かくなる時期ついで花が咲く時期が遅れるため)、ベニヒカゲは標高が高い方が発生時期が早い。2500mくらいでは8月上旬~中旬、1500mくらいでは8月中旬から下旬が最盛期。
コヒョウモン
★★★
表側の翅がヒョウ柄であり、ヒョウモンチョウと翅の模様が類似していることからコヒョウモンと呼ばれる。実は名前に反して、コヒョウモンはヒョウモンチョウよりも大きい。本州では長野県付近と青森の一部にしか生息しておらず、大変珍しいチョウとなる。僕がコヒョウモンを見たのは今回が初めてである。飛び方はゆるやかであるものの、ひとたび気づかれると一瞬で飛び去ってしまう。
ベニヒカゲ感謝祭
今年のお盆休み最後の2日間に、ベニヒカゲという本州ではごく限られた場所にしかいないチョウを探しに出かけました。
長野県の軽井沢あたりにある湯の丸高原・池の平湿原にどうもベニヒカゲがいるとの情報をつかみ、一縷の望みを頼りに池の平湿原への道を歩き始めました。
たいてい珍しいチョウというのは、なかなか遭遇できる確率自体低いのですが、
歩き始めて30秒。
あ、ベニヒカゲ。
まじすか、もういるんすか、ベニヒカゲさん。
とても嬉しいことなのですが、
早すぎませんか?(AM8:54)
まだ明日あるんすけど。。。(笑)
そこから歩いて10分ほどで池の平湿原に到着。
とても気持ちのいい天気。晴れ渡る空。吹き抜ける風。気温20℃、視界良好。
ふと足元をみると
まじすか、そこにもいるんすか、ベニヒカゲ先輩。
木道を歩いていると、、
ベニヒカゲ諸先輩方、ご苦労様です。
めっちゃおるやん!!
思わず関西弁でつっこんでしまうほど(純関東人です)、あたり一帯がベニヒカゲだらけ。お盆の最後の最後にちょいと力が抜けましたが、たまにはこういうときもありますかね。
ここ池の平湿原はベニヒカゲ感謝祭でありました。
(写真・解説)
2019年8月17,18日 長野県湯の丸高原 池の平湿原
ベニヒカゲ
★★★
準絶滅危惧(本州)
鮮やかなオレンジ色の模様をもつチョウで、標高1500m以上の草地に生息する。本州ではごく一部の限られた場所でしか生息しておらず、かなり貴重な種になっています花、草、道端、木道といろいろなところにとまっており、翅をばっと広げた姿が特に美しくあります。音に敏感なのか、一眼レフカメラのシャッター音がした瞬間に飛び去ってしまいます。
かわいいや~つ
ささにとまっている小さな碁石模様のやつがいました。その名の通り、ゴイシジミ。いつもささにとまっていて、なかなかにかわいいやつだなと思います。でも、、
実はなかなかにすごいチョウでした。
というのは、通常チョウの幼虫は植物の葉を食べて成長するのですが、ゴイシジミの幼虫は
アブラムシを食べちゃいます。
純肉食性といいます。
ワオ!!かわいい顔して肉食系なの!!
ちなみに通常成虫は花の蜜や樹液を吸いますが、ゴイシジミの成虫はアブラムシの分泌物のみを吸います。
ワオ!!かわいいやつだけど変わったところがあるのね。
(写真・解説)
1、2枚目:2019年8月18日 長野県湯の丸山
ゴイシジミ
★★
愛らしい碁石模様の翅をもち、ささの裏側に隠れるようにとまっている姿をよく目にします。薄暗い雰囲気のささ・たけがある場所でのみ生息しアブラムシがいるささのところでのみ成長する。体がかなり1cmくらいしかないので、飛んでいる姿を目撃しないと見つけるのが難しい。
ワンサイドゲーム
チョウは気分屋?なのか、狙った写真がとれるかチョウ次第かもしれません。
この戦いをチョウ vs 僕で表すと9対1くらいでチョウに分があります。
完全に
ワンサイドゲームです。
フェアのへったくれもありません。
出会って3秒で
イントロ3秒で
マジで恋した3秒で
開くは開く。翅をひらく。
珍しく完勝です。乗鞍高原の奇跡と言わせてください。
この戦場ヶ原のお方は頑固者のようで
開かない開かない。
30秒経過.... ひらかない
3分経過.......ひらかなーーい.
ガッキーもチキンラーメンを食べ始めちゃうタイミングで、家族連れの奥さんがチョウについて質問してくれたので(ケイスケ・ホンダばりのナイスアシストです)、2分ほど説明. が、
5分経過.......ひ・ら・か・な・い
さすがに諦めました。
完敗です。日光戦場ヶ原の悲劇と言わせてください。(この写真から1年間キベルリタテハには出会いませんでした)
チョウによって開いたり開かなかったり、チョウの撮影はまさにワンサイドゲームです。
(写真)
2019年8月9日 乗鞍高原 翅を広げたシーン
2018年8月16日 日光戦場ヶ原 おじさんのリュックにとまったシーン
(解説)
キベルリタテハ
★★★(下に解説あり)
標高1500~2500mm付近の広葉樹林に生息しています。花にはとまりませんが、地面や林道によくとまることが多いです。地面などとまった瞬間は翅を広げてくれますが、少し時間がたつとすぐに翅をとじてしまうことが多いかと思います。また、人の気配に敏感で、かなりゆっくりかつ音をたてないように近づかないと、たちまち飛んでいってしまいます。
キベルリタテハは8月から秋まで活動した後、冬を越して春まで生きるそうです。
★は珍しさの度合いを表現しました。
★→誰でも見かけるチョウ.
★★→少し田舎に行けばすぐ見ることができるチョウ.
★★★→場所を選び回数を重ねると遭遇できるチョウ.
★★★★→絶滅危惧種など見つけるのが難しいチョウ.
★★★★★→絶滅危惧種で最も難易度の高いチョウ.